寒波到来
新潮文庫。フォークナー。
筆者の最大長編。アメリカの南部で黒人に対する差別が残る時代に、黒人の血を引くとされたクリスマス。周囲から疎まれ、彼がたどり着いた場所とは。彼の人生が過去と現在で語られ、その合間にいい加減な男の子を未婚のまま身ごもり、似た名前だけをたよりに徒歩で未来の夫を探すリーナ。そのリーナに一目惚れして、それまでの人生を一変させるバイロン。妻が不貞の上自殺し、牧師ではなくなったが、町にとどまりつづけ、バイロンに対して批判的なハイタワー。
彼ら主要人物を描くことで人間を描いた傑作である。