在りし日の小次郎
日弁連の会員の中には過疎偏在対策は終わったと思っている人もいるが、支部に1人も弁護士がいない状態が解消されたとはいえ、離島や弁護士が必要であるのに弁護士が単独では経営が困難で、事務所を開業できない地域というものがまだまだ存在する。
日弁連では会費の中からひまわり基金を立ち上げて、この費用の中からひまわり基金法律事務所というものを設置している。
来年で最初のひまわりができて20周年となる。
京都にも過去いくつかあったが、そのまま自分の事務所となり(これを定着という)、今は公設事務所はない。
近畿は少なく、現在、淡路島と和歌山の御坊にある状態である。
ひまわり基金法律事務所の所長は任期が決まっており、任期が終わると定着しない限り、所長が交代することになる。収入補償があり、720万円に不足すると、厳格な審査はあるが、不足分が補てんされる。
制度が始まった時には、中堅弁護士が自分の事務所を閉鎖したり、複数事務所の中のイチ弁護士が赴任していたが、そのうち中堅も赴任しないようになり(なかなかそりゃ自分の事務所を閉められないであろう)、新人弁護士を養成して所長として赴任するということが通例となった。
市井の一般の養成事務所も多数あるが、この時代に養成をするというのは負担が強いためか、養成を安定的に行うことが難しく、今はひまわり基金法律事務所の所長は、都市型公設事務所の出身が多くなっている。2年養成されて赴任すると、残った事件は残りの弁護士で対応することになるから、引き継ぎの負担もあるためであろう。もちろん、給与を支払う負担もある。
都市型公設事務所とは、単位会や各弁護士会連合会が費用を出して都市に設置している事務所で、養成のためにお金にはならないが過疎地にいった時に必要な経験を積む上で必要な事件を新人に配てんすることになる(困難で引き受けてがないような刑事事件対応のために作られた事務所もあるが。)。勢い、収入は上がらず、赤字の事務所が多いと考えられる。各地で、いくつかこれまでに廃止されている。
今後残っていくひまわり基金法律事務所はあるので、都市型公設事務所が養成を担えないと、所長候補者がいないという事態になりかねないのである。そうすると、その地域の市民は弁護士に依頼したくてもできないという事態も出てきうる。
養成をするために養成をしている事務所には日弁連から費用援助はあるが、私からすると低額である。
都市型公設事務所に対して今後どうした形で援助をしていくのか、また、養成制度をどうすべきか、大きい岐路に立っている状態である。
最近の修習生は大都市志向が強いようだが、地方に行った方が多種多様な事件が経験できてキャリアアップにつながるのではないか、というのは私の感じているところである。一つの分野だけで食べていくという選択肢をするなら別だが。
キャリアの最初として、ひまわり基金法律事務所に応募するため、養成している事務所に就職の応募を是非してもらいたいところである。
本日は、養成事務所と、都市型公設事務所が集まって協議をする協議会が日弁連であり、私も日弁連の公設事務所・法律相談センター委員会の委員長として参加するので、少し真面目な記事を書いてみた。
修習生のみなさん、また、現在司法試験を目指している皆さん、大都市だけではなく、地方に目を向けてみませんか。