寒波到来
集英社。高野秀行、清水克行。
未確認生物を探したり、辺境に行く作家の高野氏と、喧嘩両成敗の誕生等の歴史書の著書がある清水氏との対談本。
世界の辺境が日本の室町時代と似ていた?
辺境を知ることで日本の室町時代が理解できるのではないか?
というところがメインだが、話があちこちに飛んで、知的好奇心をくすぐられる一冊である。
とにかく、二人の知識量に圧倒される。
司馬遼太郎と海音寺潮五郎の対談のような重厚さはないが、とにかくやたら面白い。
清水氏の歴史に対するアプローチは最近のアプローチとは違うが、歴史を全体的に捉えた上で細部を議論するということで、非常に説得的であった。
一方の高野氏は現地に入り現地人の行動をつぶさにウォッチしている。現場で培った見聞と理論的な裏付けでそれを整理するいわば文化人類学的アプローチである。
この二人の知識量と現場力が合わさった時、これだけ面白い一冊が生まれるのだと感嘆した(何もかも間違っていると出版社の担当者からいわれる高野氏のファンなので余計そう思うのかもしれないが。)。
少し前に出た本で今は文庫化されているが、例によってハードカバーを買っていて中々他の読みたい本との兼ね合いで読んでいなかったところ、その間に文庫版が出てしまったパターンであった。反省。