在りし日の小次郎
文春文庫。村上春樹。
短編集である。
先日読んだ短編集よりは心に残るものがなかった。
ゾンビという作品は書き下ろしのようであるが、非常によくあるパターンの物語で、どうしてこういうものを村上春樹が書いたのかと思う。よくあるパターンの物語で、敢えて何かを挑戦しているのかもしれないが、下手な文学読みの私には理解できなかった。
後に長編の一部に使われている作品もあるようである(レイモンド・チャンドラーも同じことをよくしているので、ここはチャンドラー好きな村上春樹は模倣しているのだろうか)。
作品としては、「ねむり」という作品が最も印象に残る作品であろう。全く眠ることができなくなった主人公の女性を描いた作品であるが、答えがないままに物語が終わる。開かれた終わり方は村上春樹らしい。