読書日記「百年の孤独」
文藝春秋。須田桃子。
ヒトゲノムの解析、そして遺伝子操作技術の発達、そしてその技術を使った遺伝子ドライブによる生態系の操作等、最先端の情報が次々に説明される。
そして、合成された生物がとうとう誕生する。
読んでいて、恐ろしくなった。
合成されたゲノムを用いて代理母に出産させれば、親のいない子が誕生しうる。倫理的に問題はないのか。また、遺伝子操作によるスーパーヒューマンの誕生も考えられるところである。
遺伝子操作をした蚊(その蚊の遺伝子を持つ蚊は全て雄になるなど)を自然界に放って害虫を除去する計画もある。これが遺伝子ドライブである。
しかし、ある側面では害虫であるものが、益虫という側面があることもあり、生態系は操作などできないのではないかという思いがある。
雀が稲穂を食べるからといって害鳥として中国で迫害された後、雀が食べていたイネの害虫が大繁殖して飢饉が起こったというような自然界の人知を超えたサイクルが壊されるのではないであろうか。
遺伝子操作された虫が何らかのアクシデントで自然界に放たれれば、世界が終わるかもしれないと考えて読んだ。
少し難しいが、読んで損はない一冊である。