寒波到来
新潮文庫。ドストエフスキー。
上下巻で1300~1400頁ある長編小説である。
実際にあった事件をモデルにした小説ということであるが、この小説のすごいところは、最初の350頁か400頁くらいまでは、物語に出てくる人物の説明などで、ほぼ物語が進まないというところである。
ここで挫折する人がいるというのもうなずけるのである。
中々進まなかったが、若い頃に文学を読まなかったので、40歳を過ぎてからは意識的にこれを読むようにしているため、そこを我慢して読んだ。
400頁を過ぎたあたりから物語は進みだし、その後、怒濤のように悲劇が続く。
暗殺や群衆によるリンチなど、読んでいて気が滅入るほどの悲劇の連続である。
この物語は筆者にとって大切な物語であったが、本来入るべきところに主人公の独白が入れられていなかったり、保管されている原稿によって内容が違っていたりして、そこも難解になっている。
秋の(もう冬ですが)夜長の読書にいかがであろう。