スマートフォン
日本の刑事訴訟法においては、犯罪被害者の上訴権は認められていない。
検察庁に対し、上訴することを申し入れることができるのみであり、検察庁の職権発動を促すことができるのみである。
2010年に発刊された犯罪と刑罰第20号、刑法読書会、成文堂によると、ドイツでは被害者は、独立して上訴権が認められていると記載されている(ただし、量刑不当の場合は上訴できない)。
アメリカでも、一定の条件の下で、「事実審裁判所が日がいゃの権利を否定した場合には、被害者、もしくは彼らが依頼した弁護士は、職務令状の発布を請求し、即時に上訴審での審査を求めることができる」とされていると同書には記載がある。
私としては、現行の犯罪被害者制度のもとでも、検察官は公益の代表者であるから、自らが起訴した犯罪事実が認められなかった場合には、被害者の意向を最大限に尊重し、できうる限り上訴を行うべきであると考えるが、私が担当した事件でも、被害者としては意見を申し入れたが、検察庁内での検討の結果、控訴・上訴されなかったというケースもあり、必ずしも被害者の希望通りにはならない場合があることも事実である。
ドイツや、アメリカでも被害者に上訴権を認めているのであるから、当事者対立構造のもとでも、日本においても法改正を行えば、被害者の上訴権は認められる余地はあると考えるが、そのような法改正は現時点ではされていないし、検討されているという話を聞かない(私が知らないだけかもしれないが)。
刑事被告人には突然なるということは少ない一方で、犯罪被害を自らが受けたり、あるいは遺族となることは突然誰にでも起こりうる。
社会全体で、犯罪被害を受けた人を救済していくという観点からは、被害者の主張はできうる限り尊重されるべきであろう。