書面を書く時
中央公論新社。村上春樹。
村上春樹は優れた翻訳家であり、多数の小説を発表する合間に翻訳を手がけている。
その翻訳のほとんど全仕事を掲載した一冊で、それぞれに一言ずつ村上春樹の思いが書かれている。
また、翻訳家の柴田元幸氏との対談も掲載されている。
よくこれだけの仕事ができると思うのだが、村上春樹によると、翻訳と小説を書くのは頭の使うところが違うようである。経済的にはペイしない翻訳作業をなぜするのか、翻訳の魅力についてたっぷりと書かれた一冊。
どちらかというと、私は村上春樹は小説よりも翻訳の方が好きである。
村上春樹の偏愛ともいえるチャンドラー愛を感じるためであるかもしれないが。
これを読んでいると、「この作品も読みたいな」「あっ。これも良さそう。」などと思ったが、直ぐに本を発注するため、読んでいない本が500冊くらいまだあるので、注文するのを我慢した次第である。
早くチャンドラーの未翻訳の「レイディ・イン・ザ・レイク」を翻訳して欲しい。
チャンドラーの新訳が出たら、他の本はいったん棚上げにして、村上春樹訳を読むのである。