判決和解速報(一審判決、交通事故死亡事案。具体的事情の下で、親族間に慰謝料の差を設けた事例)

中隆志

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  事案: 被害者の女性(70代)が自転車で交差点を北から南に向かって直進していたところ、西から東に向かって直進してきた加害者運転の中型貨物自動車が衝突し、被害者は後頭部打撲等の傷害を負い、1週間後にお亡くなりになった。
  本件はこの被害女性の相続人である夫、子ら2名が加害者に対してそれぞれ損害賠償請求を行った事案であり、3名と異なる代理人が就任していた。 
被害女性側の事情として、上記事故当時、被害女性は同人に対し長年虐待行為を加え続けてきた夫と別居し、夫に対して離婚を求めて法的手続きを進めていたところであり、依頼者はその子であり、母親である被害女性を支え続けてきていたという事情があった。
被害女性の夫は、被害女性に虐待を加え続けてきた結果、婚姻関係が完全に破綻していたものであるから、かかる夫には固有の慰謝料が発生しないだけでなく、慰謝料全体の配分についても考慮されるべきであるとの主張、立証を行った。
すなわち、死亡事故において被害者自身に慰謝料が発生しその相続性があること自体を否定できないにしても、実際の損害賠償実務では、近親者固有の慰謝料も含め、死亡被害者一人あたりの慰謝料の合計額が決められ、それをどのように配分すべきか(死亡本人と近親者固有慰謝料の比率、あるいは近親者間での差)は、個々の事案に応じて柔軟に判断されているため、本件の事情に即して、子らに多くの慰謝料が配分されるよう主張した。

結果:上記のような当職らの主張立証の結果、判決においては、本件の具体的な事情に即して以下の通り判断がなされた。
慰謝料は被害女性1700万円、子らの固有の慰謝料はそれぞれ250万円(依頼者)、150万円と認められた一方、夫の固有の慰謝料は0円とされ、被害女性側の具体的事情に即した判断がなされた。

 担当弁護士は紀と中でした。

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