宿泊費の高騰
裁判所に対して自分の主張が正当であることを裏付けるため、裁判例を整理して提出することがある。
もちろん、全く同じ事例というのはないので、こういう法的論点について、裁判所はどういう傾向で考えているかということを示すのである。
過去に高裁の裁判官の講義を聴いていた時に、裁判官としては、「自分に都合のいい裁判例だけ一つか二つあげて、都合の悪い裁判例に触れないというのは参考にしない」ということであった。
裁判所としても、自分に不利な裁判例も有利な裁判例もあげた上で、裁判例の傾向を示した上、今回の事案ではどう考えるべきかというように書いてくれると大いに参考にするが、特異な例だけをあげて自分の方に引き寄せようとしてもだめであるということであった。
不利なものは代理人としては出したくないのであるが、不利なものも出した上で、この事案とはここが違うという視点を出すことが重要だということであろう。
何人かの裁判官に聞いても、やはりそうであるということであった。
今は判例検索ソフトがあるので、検索が容易である。
私が弁護士になった頃は、勤務していた事務所に加除式の各条文ごとに問題となった裁判例が整理されている書籍があり、これを基に裁判例を探すということが基本であった(20年前です。探しているうちに、他の事件のいい裁判例がないか探して、いつの間にか脱線していたこともしばしばであるが。。。故中村利雄も同じ事をしていた。)。そういう意味では、今はいい時代である。
裁判例を証拠で出すと嫌がる裁判官もいるので、出し方が微妙であるが(時々、これは証拠ではないでしょ!と叱られることがある)。
弁護士とは、地道な作業が毎日続く仕事なのである。