限定品

中隆志

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 物にこだわるのは仏教的な観点からいうと、物にとらわれ、執着しているので煩悩に支配されているということになるのであろう。
 しかし、そうした欲というのもまた働く原動力であったりするので難しいところがある。

 たいていの人はそうであるかもしれないが、私も他人と同じものを持つのが嫌いである。
 現在ビジネスマンに大流行しているTUMIという鞄があり、日本に最初入ってきた時にはさほど流行しなかったが、私は長年追い求めていた鞄はこれだと思って弁護士の新人時代に購入した。
 その頃はTUMIを持っている人はほとんどいなかったが、その後、ビジネスマンが非常にこれを所持するようになり、初代の鞄は当時事務所に来ていた修習生にあげた。
 その後思い直して一つ購入してしばらく使用していたが、やはり同じ鞄をたくさんの人が持っているというのはどうかという気になり今はマンハッタンパッセージというところのカゲヤマモデルというのを使っている(百ます計算の陰山先生が考案した限定モデル)。
 これは収納力もあり、鞄も軽いので使い勝手がよい。
 ただ、鞄というのはある程度使うと違う鞄が持ちたくなるという気持ちが沸いてくるのである(みなさん、そんなことありませんか?)。
 自宅にあるTUMIに入れ替えて久しぶりにTUMIを使おうかなと思っていたが、職業的にかなりハードユースするので、自宅に置いてあるのをみると、かなりくたびれている。しかも端のところを小さい頃の二代目小次郎がかじってしまい、かなりみすぼらしい。
 そこで色々と鞄を探して結果、これを書いている時点で、シップスとTUMIがコラボしたネイビーのモデルを見つけてしまい、既に発注してしまった。
 ささやかなオジサンの違いを出す選択である。

 あとは、万年筆も弁護士はけっこう使っている人が多いので、いつもスーツに挿して持ち歩いているのはペリカンの全て赤色のモデルで、これも限定品である。既に市場では売り切れている。
 限定品といわれると欲しくなるというのは私だけではないと思うが、どうであろうか。

 以上です。
 

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