読書日記9月21日

中隆志

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「高い窓」早川文庫。レイモンド・チャンドラー。村上春樹訳。
 ハードカバーで少し前に出た「高い窓」の文庫版である。
 村上春樹がロング・グッドバイを翻訳して以来、チャンドラーの長編を次々に翻訳しており、翻訳されていないのは「湖中の女」と「プレイバック」である。
 ハードカバーも買い、文庫版が出たら買ってもう一度読み返すのである。

 女性の富豪から呼出されたマーロウは富豪の息子の妻が貴重なコインを盗み出したと告げ、息子の妻の行方を探すよう依頼を受ける。
 仕事を始めるマーロウの前に次々に関係者が死体となっていく。
 コインの行方は。そして富豪の妻の行方は。
 富豪によって虐げられている秘書はなぜその境遇に甘んじているのか。
 全ての謎が最後にマーロウによって一つにされる。
 マーロウの騎士道精神がこの作品でも発揮されている。
 マーロウという探偵を作り出し、そしてこうした作品を世の中に送り出してくれたチャンドラーに本当に感謝したい。
 また、村上春樹の訳は原作に忠実であり、読みやすく、さらにチャンドラーの世界が広がる。
 早く次の二作も翻訳して欲しいものである(村上春樹によれば、翻訳の仕事はお金的には割に合わないようであるが)。
 チャンドラーの作品は、人生において読まなければならない作品ばかりだと自信を持っていえる。
 未読の方は、是非一読を。わずか1000円とちょっとで人生が豊かになります。

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