3代目小次郎
今年度の司法試験の合格が発表された。1583名の合格された方は、まずはスタートラインに立てたということで、合格自体めでたいことではあるけれども、また気合いを入れ直して頑張っていただきたい。惜しくも不合格だった方々も、来年雪辱を果たして欲しいと思う。
報道などを見ていると、司法試験合格者の削減に至った理由として、増員のペースが増えて弁護士が仕事がなくなったことから削減が求められていた、という報道がされていた。
しかし、これは私など法曹人口問題をはるか昔から取組み、ブログで書いていた身からすると、はなはだ遺憾な記事であるといわざるを得ない。
元々、司法改革を推進させた時に、法曹を3000人とすべきだとした背景には、何らの裏づけのない未来予想図が描かれていた(審議会の意見書を読んでまで記事を書いている記者はいるます)。
簡単にいうと、これから専門的な訴訟が増えるから、事件数は飛躍的に増大する、あるいは、活動領域が飛躍的に増大するなどとされて、弁護士の増員が必要とされた。
また、裁判所の機能も強化するとされ、裁判官や検察官も増員するとされていたのである。
蓋を開けてみると、お題目だけ唱えただけで司法予算は増大しなかったため、裁判官・検事は増員されず、増員した分のほとんどが弁護士にならざるを得なかった。
弁護士が増えたが、事件数は飛躍的に増大するどころか、減少傾向になり、活動領域も増えたとはいえ増員分をまかなえるほどの領域拡大には至らなかった。
結果として、就職先のない弁護士であったり、劣悪な環境で雇用される弁護士が増えたのである。
弁護士が増えすぎて、飯が食えなくなった、あるいは食いづらくなったから合格者を減らすのですよということなどではなく、司法改革審議会の意見書が描いたバラ色の未来など存在せず、また、予算がかかる施策(裁判官・検察官の増員も含む)についても、施策を唱えて、政府は閣議決定したものの、予算をつけなかったがために今日の事態を招いたのである。
そうした平成13年の司法改革審議会意見書や、それを受けての閣議決定、しかし予算をつけなかったことや弁護士を増やさないと事件数が飛躍的に増大した時に市民に迷惑がかかるなどというおよそ考えられない未来を描いていたことが間違いであったということは、あまり指摘されることがないのである。
昔の人生幸朗師匠(漫才師)であったら、「責任者、出てこ~い」と叫ぶところである。