記録を読まない裁判官

中隆志

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 我々弁護士にとって依頼者から事情を聞き、書面を作成して証拠を提出するというのは基本的な仕事であるところ、裁判官は双方から出された書面をきちんと読むというのが基本的かつ当たり前の仕事である。
 しかし、記録を全く読まないか、読んでいても適当にしか読んでいない裁判官がいるのもまた事実である。
 期日に行けば全然読んでいないのは一発で分かる。
 市民からすれば、そんなバカなことがあるのかというところであろうが、これが実情である。
 中規模都市の地裁であれば、民事の裁判官は少し前で200件程度は事件を抱えているから、時間が足りないのであろう。
 司法改革では裁判官の大幅な増員というのも目標であったが、裁判官は増えず(理由はお題目だけ唱えて司法予算を増大させなかったから)、国家予算が要らない弁護士ばかり増えたのである。
 記録を読み込んでいる裁判官は代理人としても直ぐに分かる。
 しかし、記録を読まない裁判官がいることも事実であるから、できるだけわかりやすく、簡潔にして要を得た書面を作成することが望まれるのであるが、どうしても長く書いたりそれなりの数の証拠を提出しないといけない事件もあり、中々悩ましいところである。
 もちろん、極めて優秀な裁判官もいるので、全てではないが、記録を読まない裁判官は害悪以外の何物でもない。

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