読書日記「凱風館日乗」
交通事故事件を一定件数以上扱っているが(全て被害者側)、「この事件でこの判決はないだろう」とか、「この事件でこの和解案はおかしいだろう」という内容のものをもらうことがあった。
そうしたことが以前繰り返しあったので、保険会社側の代理人と雑談をしていて、保険会社としても困らないかと聞くと、「保険会社としても困る」ということであった。
その内容で一審を勝っても、高裁でひっくり返ると意味がないからである。
保険会社としても一審で解決する方が顧問弁護士の弁護士費用も抑えられるだろうし、遅延損害金もおさえられる。しかし、一審に説得力がなく被害者側に控訴されるとコスト的にも困るだろう。
保険会社としても落としどころというか、解決するポイントは「ここ」だろうということを考えていても、訴訟である以上ギリギリで主張は中々しないこともあるだろう。
ところが、裁判官の中には、保険会社側の主張をそのまま採用してしまう人が居て、こうなると保険会社側も逆に困ることがあるのである。
被害者側も「これくらいの和解案は最低出るだろう」と思っていると、どうしようもない和解案が出るなどして、予定が狂うことになる。
双方の代理人から信頼されない裁判官は、不幸であるし、猛省してもらって、事実認定能力や事案の筋を見通す力を持ってもらいたいものである。