読書日記「百年の孤独」
小次郎(二代目)を散歩させていると、頭の上をカラスが2羽飛んでいた。だいたい散歩コースには1羽はいるのだが、2羽いるとはどこかから飛んできたのかなと思い頭上を見上げるとカラスが電柱の上に巣を作っていた。
私の家の庭からよく見える位置にあり、1羽のカラスは巣の中にずっといるので、卵を温めているのだろうと思っていた。
春は繁殖のシーズンであるためであろう。
ゴミなどを漁ったりして評判の悪いカラスであるが、都会でない私の自宅付近では、虫などたくさんエサがあり、ゴミ捨て場も鍵のかかる集積場になっているため荒らされることはない。だいたいが、カラスもよく見ると可愛らしい顔をしているのである。
先日呼んだ6度目の大絶滅という本を読んで感じたが、動物が人間にとって迷惑だと感じている以上に動物は人間の営みが邪魔であり、今や人間の営みによって自然界では絶滅が巻き起こされているのである。
というわけで、電柱のある真下の家はかなわないであろうと思いつつ、しかし、カラスの仔が孵るとなんだかいいなあと思い毎日見ていたが、ある日巣が綺麗さっぱりなくなっていた。
どうやら、停電防止のために関西電力に通報がいき、撤去されてしまったらしい。
卵なども廃棄されたであろう。
2羽いたカラスは1羽はどこかに行き、今は一匹だけが私が朝小次郎(二代目)を散歩させていると、どこかもの悲しく「カアカア」と鳴いているのである。
停電が起きてはどうしようもないのはもちろんそうなのだし、私自身も電気の恩恵を受けているので何を偉そうにといわれると何ともいいようがないが、せっかく作った巣を一瞬で撤去されたカラスの気持ちを考えると、何ともいえない気持ちになるのである。
これもまた人間のエゴというところもあるだろうと思いながら、1羽残されたカラスの鳴き声が耳に残る春の1日である。