年度終わり

中隆志

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 弁護士会の年度も裁判所の年度も3月末日が最終日で、4月1日から新年度となる。
 弁護士会の役職の任期も4/1から翌年の3/31であり、裁判官の転勤も多くはこの時期である(部長クラスのエライ人になると、上に空きが出ると突然転勤されることもある)。

 私が弁護士になった頃は、この時期は裁判官の転勤前ということもあり、また、裁判所職員の転勤(書記官とか事務官)もあるため、あまり裁判も入らずゆったりとしていた記憶がある。
 当時は今のように新民事訴訟法ではなく旧民事訴訟法で計画審理などはあまり言われておらず、期日当日に法廷に準備書面を持参して、裁判官が「で、今回の書面はだいたい何を書いておられますか」などと聞いている場面も多かった。
 また、証人尋問も1日に何人も聞くのではなく、五月雨式に聞いていた記憶であり、尋問をしてから、尋問結果を聞いて新しい主張があるので出したいなどというのが普通に行われていた。
 ずいぶんゆったりした時代だったのである。
 より昔はもっとゆったりしていて、弁護士会館が裁判所と2階でつながっていて、そこが簡裁の調停の部屋の近くだったため、待ち時間に代理人が弁護士会に行ってくるといってそこで囲碁をしていて、自分の番になっても囲碁に白熱して中々調停の部屋に行かなかったという人もいたと聞いている(実話かどうかは知らない)。

 しかし最近はそういう感じで訴訟は進まないので(それでも依頼者からしたら「遅い!」となるかもしれないが)、3月の終わりでもすることが多々あったりする。
 また、昔はたいていの弁護士は書面は手書きでそれを事務員にワープロ打ちしてもらっていたので書面が短かったが、最近はたいていの弁護士はパソコンで書面を打つため、どうしても長くなりがちということもあり、タイムチャージだと1枚あたりいくらという取決めをしているとも聞くので、同じことを繰り返し書いている書面を読むのに時間が浪費させられるというところがある。

 昔は長年やっているうちに依頼者双方も紛争に疲れてきて、時の経過で和解ができたという事件もあったように思うが、計画審理の時代だと中々そうはいかないかもしれないと思いつつ、書面を書く予定の年度最終日である。

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