読書日記3月18日

中隆志

中隆志

「真田昌幸」小学館。黒田基樹。
 大河ドラマ真田丸の時代考証を担当している筆者による真田昌幸の史伝。
 史料に基づいて、武田上滅亡から豊臣政権の下で大名となるまでの昌幸の行動を描いている。
 武田家滅亡後、織田信長に臣従した際に沼田城などを没収されたが、武田家が滅亡するまでの昌幸の武田家での地位を綿密に検討し、昌幸がなぜ北上野に勢力を伸ばそうとしたか、また、そのためにどのような外交努力をしたのか。さらに上田城が徳川、上杉の費用で建築せしめた戦略はどういうものであったか等々史料に基づいて綿密に書かれていく。
 豊臣政権下で、昌幸と長男の信幸(後に伸之)が大名となり、いわゆる幸村(史実では信繁)も独立の領地をもらうまでが書かれている。
 真田好きなら是非押さえておきい一冊である。

「日本語の本質 司馬遼太郎対話選集2」文春文庫。
 司馬遼太郎の対話選集で、日本語というものについて司馬が著名人と縦横無尽に語っている。
 特に司馬は大阪の人間であるので、母音を伸ばすのが大阪だということを繰り返し述べたり(関東人であれば、メヲミヒライテミロというところをメェミヒライテミロのように、目をメェというのである)、子音で終わる言葉が日本人は苦手だとか、俳句は読み上げるものか目でも見るべきものなのかとか、戦国時代によって地域の方言が決まったとかいうのはウソであるとか、種々議論が交わされる。
 本当におもしろい一冊である。

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