読書日記「百年の孤独」
「女子大生風俗嬢」朝日新書。中村淳彦。
有名大学の学生たちがなぜ風俗嬢をするのか。有名大学の学費を支払うため、男子学生までもが男性相手に身体を売る。その背景には高騰する学費と、利息付奨学金、家庭環境がある。構造的問題であり、筆者は風俗で見知らぬ男に身体を売る女性達を冷静に見つめる。
日本の一部の学生達が直面している問題に切り込んだ秀作である。
「江戸城の宮廷政治」講談社学術文庫。山本博文。
最近非常に愛読している「会話まで史料から」書く筆者が、江戸時代初期の細川家の往復書簡から、江戸時代初期に外様大名がどのようにして生き残りをはかっていたかを生き生きと描き出す。
全て史料に基づいているので、非常に説得力がある。
年始からいい本を読んだ。
「殺人者はいかに誕生したか」新潮文庫。長谷川博一。
極悪事件を起こした殺人者達と面会し、その内奥に迫り、「なぜ」彼らが殺人者となったのかについて知り、こうしたことが起きないようにどうすればよいのかを考えるべきという筆者の著作である。
被害者支援をしていると、やはり遺族は「本当のことが知りたい」という思いがあると感じる時がある。なぜ殺されなければならなかったのか、どういう形で死を迎えたのか・・・。最愛の人の最後の時を知りたいと思う相反する気持ちがあると感じさせられることがある。
私はこのような活動はできないが、筆者の活動には敬意を表したい。
「考えることの科学 推論の認知心理学への招待」中公新書。市川伸一。
人が日常どのようにして推論しているか、どのようにして人は誤るか等々について事例を挙げながら整理されており、短い本であるが非常に面白かった。
事件でこの知識が使えないかという頭で読んでしまうのが職業病である。
「古事記」池澤夏樹個人編集日本文学全集。池澤夏樹。
日本人であるので一度は読んでみようと思っていた古事記であるが、筆者が日本文学全集の最初に持ってきてくれたので、購入意欲が沸き、読了。
国生みの神話から始まり、長い物語が綴られる。
虫食いで知っていた神話を知ることができたたともに、天皇という地位を継ぐためにどれだけ血なまぐさい戦いが続けられたのかを知る一冊。人の名前や神の名前はあまり頭に入ってこないが、覚えたとしても生きていく上で必要もないだろうし、だいたいの流れが分かればよしという考えで読めば楽しめる。