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6位。
「三四郎」夏目漱石。池澤夏樹個人編集日本文学全集第13巻。
かなり前(大学生だったと思う)に読んだので筋を忘れていた三四郎であるが、45歳になり読み返してみると新しい読後感がある。
悩みのない人間からすると、漱石の小説に出てくる人たちは何でこんなに悩んでいるのだろうと思うが、漱石がいたからこそ今の日本語の文章を書くことができるというその功績(司馬遼太郎による)と、やはりプロットというか、小説の主題と文章の読みやすさは群を抜いているし、不可思議な現象を書かずに日常の場面を切り取り、ここまでの小説を書くことができたという点で、やはり文豪であったという思いを痛切に感じた次第である。
若い人には、漱石を読むようにとお題目のように言っているのだが、中々みな読んでいないようである。
漱石の小説の作品は数も知れているので、是非、年末年始に1人でも多くの人に漱石を手にとって読んで欲しいと思うのである。
私のお勧めは、「こころ」「行人」「彼岸過迄」「虞美人草」「三四郎」「それから」「門」「明暗(未完)」である。