寒波到来
「ねじまき鳥クロニクル1~3巻」新潮文庫。村上春樹。
現代文学を語る時に避けられないと思い村上春樹を読んでいる。
世相を反映して、暗いイメージが全体を貫いている。
ただ、夏目漱石の作品と比較した時(比較するのもおかしいが)、漱石は超常的な現象は用いず人間と物語を書いているのに対して、村上春樹は超常的な話が出てくるので、純文学とはいえず、村上春樹のオリジナルな分野だということができるかと思ったりしている。まさにそこが村上春樹の作品の魅力なのだろうが、この作品はあまり好きになれなかった。
「真田信繁」角川選書。平山優。
真田幸村と後世呼ばれた真田信繁の実像について、できる限りの史料に基づいて正確に再現しようとされた一冊であり、真田好き、歴史好きなら絶対に読まないといけない好著である。
家康が豊臣家を滅ぼそうとしていなかったというくだりは私は同意できないが(大阪の陣の後に徳川家は豊臣秀吉の墓標を破壊していることからして、豊臣家を滅ぼそうとはしていないというのは、あくまで世間体を保つためであったろうと思われるのである)、大阪の陣については史料からこのような整理をされたものは初めて読んだので、非常に今幸せな気分である。