読書日記10月26日

中隆志

中隆志

「京都ぎらい」朝日新書。井上章一。
 京都の嵯峨出身の筆者が、洛中の京都人が周辺の京都出身の人間を差別しているということを指摘し、それに絡めて歴史的事実やなぜ洛中の京都人が偉そうになってしまったのかなどとつづるエッセイである。
 私など京都で弁護士をしているが、大阪生まれの大阪育ちであるので、京都に対して苦手意識や上に見るという意識は全くない。洛中の人がそのような意識であるかどうかもよくわからないところがあるが、中々に面白い本であった。

「山怪 山人が語る不思議な話」山と渓谷社。田中康弘。
 各地で聞き取った山にまつわる不思議な話をまとめた一冊である。
 ほとんど民話のような話もあるが、リアリティーがあり恐ろしい話がある。
 狐や狸に化かされたという典型的な話から、山中でナビが狂いだしてそのとおりに進んでいるとどこに連れて行かれるかわからないという何となくゾッとする話もある。
 怖い話が苦手な人には向かない一冊であるが、忘れられた日本の原風景が描かれているような気もする。
 山で1人でいることがこの本を読むと恐ろしくなると思われる。

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