読書日記10月6日

中隆志

中隆志

「黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実」早川書房。リチャード・ロイド・パリー。
 日本でホステスとして働いていたルーシー・ブラックマンが失踪し、その後遺体で発見されるが、彼女の死の真相を書いたノンフィクション。
 事件だけでなく、ルーシーの家族の関係が描かれる。
 このような事件では、被害者がどんな人物であったかは書かれず、専ら事件に即して描かれることが多いが、筆者はルーシーという一人の女性がどのようにして生き、なぜ命を絶たれねばならなかったかというところまで掘り下げて書いている。
 裁判用語には誤訳も見受けられるが、まあ仕方がないところとしよう。
 好著である。

「華氏451度」ハヤカワ文庫SF。レイ・ブラッドベリ。
 本が燃え上がる温度である華氏451度。
 禁書を所有していると当局が駆けつけて本を燃やされてしまう。
 本を読ませず、画一的で、統治者にとって都合のいい世界を作ろうとする試みとそれに反逆しようとする人々。
 今の日本と似ているところはないだろうか。
 これまた好著である。

「探検隊の栄光」小学館文庫。荒木源。
 本屋で表紙と表題にひかれて購入。
 川口博探検隊シリーズは私の年齢であればドキドキしながら見ていたものであるが、若い人はもう知らないであろう。
 川口博探検隊をモチーフにしたような探検隊が撮影中に出くわすアクシデント。
 そこから物語は一気に展開するのだが、破天荒な内容で、旅の友に読むには適当であった。

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