寒波到来
「刺青・秘密」新潮文庫。谷崎潤一郎。
谷崎の作品は地人の愛程度しか読んでいなかったのだが、40歳を超えて読む文学を一つのテーマにしているので、購入してあったものを読了。
谷崎の独特の世界観に貫かれている作品。
いくつかの短編が収録されているが、自伝的小説もある。
表題の秘密という作品が人間心理を描いているという意味で秀逸だと感じた。
「職業としての小説家」スイッチライブラリー。村上春樹。
ネットでの購入に反発した書店が1万冊確保したということで話題になった村上春樹氏の新作。
私はアマゾンで買えましたが。
現代小説の中で村上春樹は外せないという考えにいたり、時々読んでいるのだが、分からない作品も多く、この本を読んでも理解できないところがある。
しかし、何もかも理解できないのもまた村上春樹の小説の醍醐味なのかもしれない。
この本の内容としては、プロの小説家として、非常に自分を律して仕事に真摯に対峙する姿が語られており、「小説家」だけではなく、全ての職業、特にプロを自認するような仕事をしている人に感銘を与えるエッセイだと感じられた。
いい加減な書面で済ませようという誘惑にかられた時に(現実にはそんなことしませんが、人間なので誘惑にかられる時はある)、村上春樹氏のこの態度を忘れないようにしたい。