徹夜
ある法科大学院生が自らの法律論を批判されたことに腹を立てて、その相手方の交際女性の名誉を毀損するビラ(AV女優志望、SMパーティ開きますなどと記載したとある)を張った疑いで逮捕されたという記事に接した。
さるところが聞いた話では、裁判官が何を書いてあるのか分からないので若い弁護士に聞くと自分が批判されたと思って怒り出す人がけからこういるという。
この法科大学院生の記事が真実だとすると、そうした一部の若手弁護士の自分に対する批判を受け付けないというか、経験も実力もないのにプライドだけは高いというか、そういう資質が何となく見えてくるように思うのは私だけであろうか。
裁判でたまに、「自分の主張を認めない相手方の態度はけしからん」と怒っている代理人がいるが、依頼者が傍聴席に居て依頼者向けにポーズを取っているのであれば分からない事もないが、まさに主張に対立があるからこそ裁判になっているのであって、そこを認めないから怒るというのは裁判制度の否定ではないかと思うのである。
そのような時は、「まさにそこが争点で、裁判官によってこれから判断されることがらであるので、自らの主張が正しいとしてそのような態度を取られても、こちらとしては前提が異なるとしか言いようがない」と回答するほかないであろう。
相手には相手の立場があるのであり、それに腹を立てるのではなく、主張と証拠に基づいて、自らの立場の正当性を裁判所に理解してもらい、勝訴判決を得れば済む話ではなかろうか。
えてして、こういう場合、相手の主張がすんなり通らなかったりするのもまた真実であったりする。
何故にこのような事態になっているのかと思うと、暗然たる気持ちにさせられる今日この頃である。