読書日記「百年の孤独」
「騙されてたまるか」新潮新書。清水潔。
殺人犯はそこにいるを書いた筆者による「調査報道」の裏側、あり方、姿勢について書かれた新書。
裏取りを入念に行い、真実か否かを見極め、報道しなければ社会がそれを犯罪であったり問題としないものをあぶり出す過程が克明に書かれている。
筆者の報道をきっかけに制度が変わったり、処罰されなかった被疑者が処罰されたりというすごい結果を出されている。
成功例だけでなく、マスコミの失敗例も書かれていて、非常に公平な書籍であるという印象を受けた。
法律には限界があり、我々法律家が立法活動を行っても中々進まないが、やはり、ペンの力は強いということを実感させられる好著である。
「司馬遼太郎短編全集2」文藝春秋。司馬遼太郎。
これも2巻目なので、司馬の初期の短編集である。
司馬のすごいところは、一つの短編に仕上げるために、どれだけの史料を読み込んでいるのか、と思わせるところである。
架空の時代小説であろう・・と思いながら読み進むと、史料に基づいた小説であったりする(もちろん、史料には自ずと限界があるから、そこを小説家がふくらませる訳であるが)。
短編の中では、武士として名をあげられなかったが、壺で名をあげた豪のものの悲哀を描いたものに惹かれるところがあった。