読書日記「百年の孤独」
先日読んだ向田邦子の小説に、「かわうそ」というタイトルの小説がある。
子どもがいない夫婦で、妻はいつも何かにはしゃいでいて、それがかわうそのようであるというので夫がそう感じているという小説である。彼女にとっては、夫の病気も一つのはしゃぐタネのようなものである。もちろんそれだけではなく、短編ではあるが、深い読後感がある。ネタバレになるのでこれ以上は書かないが、興味のある方は是非ご一読されたい。
電車に乗っていると、配偶者が重度の事故に遭ったというオジサンが、大声で、一緒にいる人に向かって、「保険会社は○千万円支払ういうたんや」「俺とこの弁護士は1億は超えると言っている」「相手が俺でよかった。俺でなかったら2億とか3億とかいうとるとこや」「元の体に戻せっていうたるんや」などと言っている。
本来的には、一番つらいのは事故にあった配偶者の方だろう。配偶者の不幸をおもしろおかしく語るその姿は、先日読んだ「かわうそ」を思い出した。
軽い対応をしていると、配偶者から見放されるかもしれないと思いつつ、賠償額がいうだけでは変わらないよとも思っていたものである。あまり電車の中で大声でいう話ではあるまい。
以上です。