いたずらに長い書面の理由

中隆志

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準備書面の長さについて少し前に書いたのだが、相手方の準備書面でいたずらに長い理由を分析してみた。

1、やたら大げさな表現が多く、なぜこれを書くかという趣旨から書いて、中々本題に入らない。
2、注記がやたら多い。
3、判例の引用がやたら多く、その判例の射程範囲について長々と書く。
4、相手の準備書面をそのまま引用して、どこが前回と矛盾しているかとかをつらつらと書いて、最後になぜ矛盾しているかの自分なりの理解を書く。
5、相手の態度の批判などをやたら書く。
6、タイムチャージであるので、枚数を稼ぐ必要がある。

 というものである。
 1については、手の内をさらすことにもなるし、裁判官は制度の趣旨などはさらっと書いて、本題に入って欲しいと思っているようである。
 2については、注記がやたら多いとそこで中断することになり、読み手が読みづらい。相手方代理人が読むのが嫌になるのであるから、裁判官はもっとそうであろう。
 3については、判例の射程範囲がずれていることが多い。
 4については、枚数を稼ぐためと思われるが、一覧表にでもした方が絶対わかりやすい。ただ、たいていその矛盾は、判決に影響しないようなことばかりである。
 5についても、そうして相手が応対するのが嫌になるのを狙っているのかもしれないが、ある程度トレーニングを積んだ弁護士であれば、そんな書面のことは気にしておらず、「裁判官はこんな書面見たくないだろうな」と思う程度である。なお、あまり相手を批判しすぎると、事案にもよるが、和解出来なくなる(特に京都の場合)。
 6は、お金を稼ぐために、何とかして1~5のようなことを書いて枚数を稼いでいるという目的ではないかという気がしている。
 まあ、こんな整理をしてみたところで仕方ないのだが、長い書面を最近よく見かけるので、整理してみた次第である。

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