醸造酒と蒸留酒

中隆志

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 醸造とは、新明解国語辞典第6版によれば、「発酵作用を応用して酒類・醤油などを造ること」とされている。日本酒などがこれにあたる。
 これに対して蒸留とは、「液体を沸騰させ、出来た蒸気を冷やしてまた液体とすること」とされ、蒸留酒は「発酵した酒を蒸留してアルコール分を多くしたもの」とされている。ウイスキーがこれにあたる。
 若い頃は醸造酒の方が好きであったし、今も日本酒は嫌いではないのだが、今は蒸留酒が好きである。何となく、アルコールの純粋な部分だけを飲んでいるようであるし、少ししか取れないというところにも希少性を感じるのである。

東南アジアから中東で製造される蒸留酒はアラックと呼ばれている。糖蜜やヤシの実から造られるのである。
 今自宅で相当昔読んだ雑誌で掲載されていて、いつか飲みたいと思っていたアラック・オブ・バリというバリ島原産のアラック取り寄せて、これを寝酒に飲んでいるのだが、これはヤシの花蜜と米から作られている透明なアラックである。
 ほのかな甘みとヤシの香りがして、夏にふさわしいアラックである。
 花蜜は少ししか取れないだろうし、またそれを蒸留するから、一本のお酒を造るのに相当な手間がかかっているだろう。
 ほのかな甘みのあるアラックでカクテルを造ってもらえば美味しいかもしれない。

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