読書日記「百年の孤独」
弁護士職務基本規程70条では、「弁護士は、他の弁護士、弁護士法人及び外国法人弁護士との関係において、相互に名誉と信義を重んじる」とされている。
それぞれに依頼者がいて、それぞれの依頼者の立場で主張立証を尽くして裁判をしたり、和解したりするものである以上、相手の立場を重んじなさいということである。旧弁護士倫理43条でも同趣旨の規定があった。
注釈弁護士倫理(有斐閣、日本弁護士連合会弁護士に倫理に関する委員会編)では、「当事者間の紛争には、ややもすれば憎悪の念に基づくいがみ合いにまで発展してしまっているものが少なくない。このような場合においても、弁護士は、極力そのいがみ合いの渦中に巻き込まれないようにして、法律専門家としての自覚に基づき紛争解決を適切に解決するべく、最善の努力をしなければならない。弁護士が、当事者と同じように、相手方関係者やその代理人に憎悪の念を抱き、その感情のままに紛争解決にあたるとすれば、得るものよりも失うものの方がはるかに多いであろう」(176頁より引用)とされている。
旧倫理では、相手方弁護士を誹謗・中傷してはならないともされていた。
相手方弁護士の行動に対して、原則して誹謗・中傷するような行動はしてはならないということである(これは、双方に依頼者がいる以上、事実関係の認識に差があるし、証拠の評価も双方の主張があるということから自ずとそうなるはずである)。
弁護士の中には、弁護士職務基本規程を読んでおらず、あたかも自分が1級弁護士で、相手方弁護士が2級弁護士であるかのような連絡をしてきたり、発言をするものがいるが、そうした発言は弁護士職務基本規程に反するものといわざるを得ない。
議論することは別であるが、昔はそうした弁護士はいなかった記憶であるので、昨今の状況は末期的症状であると感じる今日この頃である。