ひとりよがり

中隆志

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弁護士は独立しているので、知らず知らず癖がついてくる。
 一人で独立してやっていると、注意をされることはほぼないであろう。
 私の場合、事務所の他の弁護士と議論をするし、守秘義務に当たり障りがない程度に友人の弁護士たちと協議をしたりもする。あるいは、酒の席で先輩弁護士から仕事の話を聞いて、自分の肥やしにする。
 それでも、知らず知らず癖がついていることがあるであろう。自分はこれでよいのかと自省する時間が必要である。私も完璧に出来ているなどという気はない。

 しかし、たとえば一人で事務所をしていて、あまり他の弁護士とも交流がないと、この癖がいきつくところまでいきついて、「ひとりよがり」になっていることもあるかもしれない。
 自分ではそれが当然と思っていることが、他の弁護士からしたら、「あの弁護士、アホと違うか。いや、完全なアホや」となっているかもしれない。
 相手の弁護士にものすごく偉そうにされることがままあるが、あまりのその偉そうな態度に、怒るよりも心配になることがある。どちらかというと、ベテランよりも若手に多い。
 まるで、そうしないと、自分の弁護士としてのアイデンテティがなくなるかのように偉そうにするのである。

 もちろん、そういう態度をされてこちらもいい気はしないし、その偉そうな態度によって主張していることは、私からすれば的を外れているといわざるを得ないことがほとんどである。
 私も昔はこういう弁護士にはカチンときて、よく言い合いをしたが、最近はこの手合いを相手にするのも労力の無駄だと思い、ケンカもしなくなった。こういう仕事のやり方をしていたら、依頼者も来ないだろうし、解決能力もないだろうから、そのうち自滅するだろうと思うからである。

 本当に実力がある弁護士はやたらと偉そうにすることはない。丁寧な対応をする。私の元ボスがそうである。
 もちろん、いうべきことを主張して、依頼者のために仕事をすることは別であるが、やたら偉そうなしている弁護士に出会うと、「なんでここまで偉そうにする必要があるのだろうか」と奇異に思ってしまう今日この頃である。

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