在りし日の小次郎
事件をやっていると、相手方弁護士の行動を誹謗中傷するような文書を書いてくる弁護士がいるが、弁護士職務基本規程で、簡単にいうと、相手方弁護士の立場を重んじなければならないとあるので、こうした書面は度が過ぎると、懲戒の問題や損害賠償の問題たり得ることを理解して書いているのかと思うことがある。
証拠に基づいて事実関係や法的主張を駆使して、相手の主張に理由がないことを書くことは当然であるが、相手の弁護士の行動そのものを批判することについては、慎重でなければならない。中には、相手の依頼者が言っていることをそのまま書いているのではないかと頭をひねることすらある。
もちろん、批判されるべき行動を取る弁護士がいないではないが、ここでいうのは、「相手の弁護士の立場に立てば、こういう主張や対応をすることはやむを得ない」と考えられる場合に、自らの立場に立って、相手方弁護士の行動が弁護士としておかしいなどと書く場合を指している。
依頼者受けはするであろうが、こうしたものを文書で残る形で出すことで、相手の弁護士が頭に来た場合には、懲戒請求されてもやむを得ないと思っておくべきである。
相手の弁護士の行動を非難するような前に、まずは弁護士法と弁護士職務基本規程を熟読した上でして欲しいと思う今日この頃である。