弁護士の時計

中隆志

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 私は最近ほとんど時計をしないが(時計自体は弁護士になって数年目に買ったものと、独立1年目に自分へのご褒美として買ったもの、弁護士ワールドカップでもらってきたものをみんなからプレゼントされたものなどがある)、昔は弁護士になるとある程度金回りがよくなって、いい時計を購入する若手が多かった。
 中には、修習生としてもらっている給与を節約して貯めて、パネライの時計(80万円くらいするはず)をしている修習生もいた。これは、給与の使い方としては間違った例だとは思うが(修習生の給与は修習のために使われるべきであり、書籍などを本来は買うべきであろう。私自身がそれをしていたかといわれると穴があったら入りたいが・・・)。
 最近は、若手弁護士も給与が下がり、事件数も減少していい時計も買えなくなっているのではないかという気がする。いい時計をしている若手弁護士を見かけないのである。
 時計だけでそれをはかるのはどうかという気もするが、若手サラリーマンでは最初の賞与でいい時計を買ったりする時代である。京都の場合は、月額5万円近い会費を支払い、一般のサラリーマンよりも悪い待遇だとすれば、誰が学費をかけてそんな仕事を選ぶだろう。
 法科大学院への入学者は激減し、法学部を目指す学生は減った。
 司法試験の予備試験の受験者数が過去最大となった。
 今後、日本の人口はこのままでいけば減り続ける時代に、これだけ弁護士だけを増やして(司法改革では、裁判官・検察官を増員するということが当然の前提であったが、予算がつかないので、自由業の弁護士だけが増え続けてきたのである)、小泉政権時代に始まった司法改革は、根幹で失敗・崩壊しているといわざるを得ないと思うのである。

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