在りし日の小次郎
ヒグマは日本で最大の肉食獣であり、原則として本州にはおらず、(飼われているものは除いて)北海道に生息する。
ヒグマは成長すると体長2メール、体重は300~500キログラムにもなり、100メートルを7秒程度で走ることが出来る(ボルトより速い)。また、筋肉で身体が覆われているため、何十メートルのガケから落ちても平然と歩き去った姿が目撃されている。
若いヒグマは木登りも得意である。
このように、人間と比較してヒグマの体力は圧倒的であり、ヒグマに追いかけられて走ってヒグマよりも速かったので逃げることが出来たという話をする人がいたら、100%に近い確立でその話はウソであろう。
木に登って逃げたというのも相手が若いクマであれば、不可能な話ということになる。
ヒグマは基本的には臆病であり、人間が近づくとヒグマの方から距離を取る。ただ、ヒグマの知能は高く、猟師が後を追いかけていると、自分の足跡を後ろ向きにたどってバックして、ひょいと飛んで横のヤブに入り、足跡を追っている猟師を後ろから攻撃するということもあるようである。
また、一度人間を襲ったヒグマは、人間に対する恐怖心もなくなり、むしろ人間をエサとして見るので、これ以上危険な野生生物はいない。
北海道では、毎年、山菜採りなどで山に入った人がヒグマに襲われて死亡する事件が発生している。
世界最大のクマ被害は、北海道で起こっている。苫前三毛別では、死者7名、重傷者3名という世界にもないヒグマによる被害が起こっている。
この事件では、ヒグマに襲われて死亡した女性の葬式を行っている時に、獲物を横取りされたとして怒ったヒグマが葬式の席に殴り込みをかけて、死体を奪い去ったという恐ろしい話が伝えられている。
吉村昭の「熊嵐」という作品はこの実際の物語を基にした作品である。
以上のように、ヒグマは恐ろしい生物である。ヒグマが北海道で出没するシーズンに入っているので、注意が必要であろう。