控訴審

中隆志

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 先日、ある弁護士と話をしていると、「ほとんど控訴審を経験していないから、あんまり控訴審がわからへんねん」ということを言われた。
 聞くと、勝訴が多く、敗訴しそうな事件は和解で落として来ているからだという。

 こういう弁護士は少ないのではないかという気がする。勝訴する事件ばかり受任する訳にもいかないし、敗訴する事件で和解でまとめようとしてもまとまらないこともある。
 この弁護士は私より先輩であるが、私などは、控訴審はたくさんやっている。自慢にはならないが。。。

 こちらが勝訴した事案もあれば、当然敗訴した事案もある。
 勝訴した事案は、「ふふん。控訴趣意書が出てきてから反論を書いたらええわ」という気でいられるので、気が楽であるが、敗訴事案では、控訴してから50日以内に控訴趣意書(なぜ一審判決がおかしいかをまとめた書面)を書かないといけないのである。
 書面の中では、上告趣意書の次に、やはり筆が進まないのがこれである。
 
 その書面だけ書くことでよいのであれば問題はないが、その間に、新件の事件の打合や、既存の事件の打合、書面作成等々もしなければならず、書きにくく、かつ、作業量としても膨大なものになることが多い仕事は細切れの時間ではとうてい出来ず、夜なべするか、週末の仕事となる。まあ、弁護士はサラリーマンではないので、土日も事務所は休みでも仕事をしていることが多いのであるが。
 現実逃避はやめて、仕事をすることにしよう。

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