裁判官と弁護士の認識の差

中隆志

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 京都弁護士会では、会務ニュースという会務についての要旨が記載された冊子が1ヶ月に一度配られるのだが、そこで、裁判所の通常部と弁護士との懇親会の模様が記載されていた。

 弁護士は、困難な事件、複雑な事件では、強調したいことは何度も書いたり、長文の準備書面を書かなければという姿勢でいるのに対し、判断する裁判所の方は、「あまり長いものは要らない」と思っているということであり、長くなるものには、目次をつけたり、サマリー(要約)をつけて欲しいという要望がなされていた。
 弁護士は、全て書いておかないと裁判所に理解してもらえないとか、触れておかないと判決で触れてもらえないという強迫観念のようなものがあるのに対し、裁判所は、わかっているから、あんまり同じことをくどくどと書かないでというところであろうか。

 この記事を読んで、弁護士の中には、書くだけ長いものを書いた上で、かつ、証拠もあるものは全て出すというタイプの人がいるが、裁判官も多くの事件を抱えているから、出来るだけ裁判所に理解してもらいやすいようにする必要があるのだということを再認識した。
 いくらいいことを書いていても、文字が小さくて読みづらかったり、段落を下げないがために読みづらかったり、表現が独特で読みづらかったりすると、マイナスになるのだろうと考えた。
 証拠も論点ごとに整理して出すとか、準備書面も読みやすさも考えるとか、いろいろと工夫をしなければならないところがあるのだろう。

 自分なりに考えていたところもあるが、裁判所の考えを読ませてもらい、さらに工夫の余地があると思わせられた。会務ニュースの作成にはかなり手間はかかるのだが(私も弁護士会の委員会の委員長をしている関係で、原稿を頼まれることもしばしばである)、有益な情報も掲載されているので、こうした冊子はなくさないで欲しいものである。

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