在りし日の小次郎
物を所有したいという欲求は悪いものではないと思うが、それが度を過ぎると困りものである。
司馬遼太郎先生は、物凄い印税を稼がれたであろうが、エッセイの中でそうしたことに淫してはいけないと言っている。
歴史小説家なんかだと、刀とか、甲冑とか、いろいろ購入してそうであるが、そんなものは買われなかったそうである。
万年筆を一時集めていたが、最高級品だと、数百万円とか数千万円する。時計と同じようなものであり、際限がない。
もちろんそんなものは買っていないが、一生使っても使い切れない数の万年筆を買ってしまったので、ここのところ、ぐっと買いたい思いをこらえていた。
しかし、少し前に、パーカーの万年筆でもなく、ボールペンでもないという新作のペンを出入りの業者さんから購入した。我慢できなくなったのである。
時々机で使っているが、新しいものを使うと何となく嬉しい。
私の周りでは、電化製品好きとか、色々なことにお金を使う人がいるが、ある程度物欲もないと、仕事をする意欲も沸かないという気もする
物欲のみならず、他の点も含めて、悟りを開くにはほど遠い私である。