在りし日の小次郎
私の事務所も複数の弁護士が所属している。
事務所の形態によって、複数の弁護士がいる意味はいろいろだろう。
1、全員がバラバラに事件をやっていて、それぞれの依頼者がいて、必要な時だけ共同で事件をするタイプ。同期などで事務所をいっしょに構えるときなどはこうしたパターンで始まるだろうか。一人では借りられない大きい事務所を複数の弁護士で借りるので、一人の負担は減る。また、コピー機の事務機器や、書籍等も共有出来るというメリットがある。事務員も、一人では何人も雇用するのが苦しくとも、複数で雇用することで、複数の事務員を雇用できる。
デメリットは、各人がバラバラなので、事務所としての特性が出しにくいということだろうか。
2、1のパターンで、各経営弁護士が、それぞれ勤務弁護士を採用するタイプ。こうした事務所の特性は、1に加えて、各経営弁護士が自分だけでは処理出来なくなった事件を引き受けることが出来るということにあるだろうか。
3、1人の経営弁護士がいて、そこに勤務弁護士が入り、パートナーとなっていくタイプ。
他にもあるかもしれないが、まあこの三つくらいかなと京都の規模だと考えていいのではないだろうか。事務所同士が合併したり、別れたりすることもある。
私の事務所は3である。3の事務所の特質は、基本的には依頼者は経営弁護士に事件を依頼しに来ているということろである。これは、勤務弁護士からすると、経営弁護士に頼みに来た依頼者の事件をするわけで、依頼者からの信頼を勝ち取るのがまずもって大事なこととなる。
勤務弁護士が事件をしていると、「経営弁護士に依頼したのに」と苦情を言われることもあるだろう。
そういう時に、勤務弁護士の取る態度も難しいが、私が勤務弁護士であった頃は、ボスが私に事件を任せた以上、ボスに依頼者からの苦情がいくということは恥であると考えて、必死で事件に取り組んだものである(自慢ですいません)。
そのため、事件が終わる頃には、ボスが電話に出ても、「中先生お願いします」といわれて、「僕には用事がないらしいんや。」とボスが苦笑していたケースもあった。
逆に、それほどにならなければ、ボスが勤務弁護士を採用している意味がないと私は考えていた。
依頼者はボスに依頼をしに来ているが、しかし、ボスも手一杯で仕事が処理しきれないので、勤務弁護士に事件を主任で遂行させる訳である。そのときに、ボスに頼みにきた依頼者は皆ボスにやって欲しいと思うであろうから、勤務弁護士が主任になった時には、ボスに依頼をしにきた方に対して、こっちの若い先生にやってもらってよかったと思わせるほど頑張らないとダメなのである。
逆にいうと、3の事務所の形態だと、勤務弁護士は、そのようにならないと、複数で経営弁護士が事務所をやっている意味がないのである。2でも同じことがいえる。
勤務弁護士についていえば、事務所には勉強をしにきている訳でも、勉強を教えてもらってお金をもらっている訳でもない。勤務弁護士は、プロとして働いて、給与を得るのである。
プロ意識のない弁護士は、事務所にいる意味がないのである。
若いみなさん、気をつけましょう。