在りし日の小次郎
我々の最終試合は九州選抜との一戦である。互いにまだ1点も取っておらず、事実上の頂上決戦である。
私は前半トップ下で先発。メンバーは相手の方が若いが、トラップの際に詰めるとトラップミスもたまにあるので前線でボールを奪える。
ゴール前にこぼれたボールを私が詰めたが、相手のディフェンスがコーナーに逃れる。
このコーナーをほぼフルで出ている内村選手が蹴る。これにこちらの選手と九州選抜の選手が競ったところ、九州選抜の選手の背中にあたりゴールへ。
ゴールマウス内には九州選抜の選手がヘッドをしようと待ち構えていた。ヘッドされると得点にならない。私はヘッドで来たボールを跳ね返そうと詰めようとした。
そうしたところ、ヘッドでクリアしようとしたボールが相手の選手の頭をつるりとなでるようにしてゴールイン。ボールに順回転がかかっていたためである。
相手のオウンゴールとはいえ、初得点である。
1-0とリード。
九州選抜は必死の攻め。京都2はリードに慣れていないため、私が落ち着けと声を張り上げるが、何人かの選手は浮き足立っている。
左サイドハーフの西田選手(60期)はぼんやりして近くのボールにも詰めない。いかん。リードしたことで焦っている。
私は前半1-0て逃げ切ることに決め、フォワード一人を置いて時には最後列まで下がり、守りに徹した。西田選手はハーフタイムで激励して後半で再度使うことにして、非情の交代。
左サイドバックの山腰選手を中心にこらちの右サイドから攻める九州選抜の攻めを防ぎみなで何とか守り、前半を1-0て逃げ切った。
後半は私は控えで、17チーム中ベスト16入りするため、采配に徹することにした。
運動量の豊富な山根木選手が足がつりそうとハーフタイムで言っていたので、交代の時期を考える。
そうしたところ、ボランチの秋重選手(59期)からフォワードの大塚選手に縦に球が入り、大塚選手が巧く抜け出した。相手キーパーが必死に止めようとするその逆をついて左足でゴール。2-0と突き放した。
山根木選手が途中で足がつっては一大事なので、ここで交代のカードを切る。
腰が痛いと言っていた左サイドバックの私の同期の小松選手(48期)を下げ、右サイドハーフののなみ選手をサイドバックへ。
サイドハーフに遠山選手(55期)を投入。死ぬ気で走るよう指示。
トップ下に高橋選手(62期)を左サイドハーフから回し、左サイドハーフに西田選手を再投入。
西田選手がシュートのこぼれ球に詰めてナイスゴール!と思ったが非情のオフサイドの判定。
私から見ると、シュートを打ったあと、最終ラインから飛び出したようにしか見えなかったが、これもサッカーである。
そうこうしているうちに、なんとか、2-0で試合終了。
チームMVPには、豊富な運動量でチームに貢献し、最近結婚した山根木選手が選ばれた。
そして、隣のコートでは、京都1が東京2と死闘を繰り広げていた。
雨が強くなる中、京都1の応援に皆でかけつける。
つづく。