在りし日の小次郎
どんなにいい解決をしても依頼者から苦情を述べられたり、罵られたりすることもあるのだが、ほとんどの依頼者は感謝をしてくれる。
私は弁護士の仕事というのは、依頼者に感謝を求めてするものではなく、依頼者のために全労力を注いで、依頼者のためにどれだけの仕事をしたかということで自分の精神的安定を保つことが大事だと思っているので、依頼者に感謝を出来るだけ求めないようにしているが、それでも、依頼者から感謝され、御礼を言われると、うれしくないはずはない。
少し前の話になるが、交通事故の遺族が事務所に皆さんで挨拶にきてくれた。京都にくるついでがあったということではあったが、遠方からわざわざ来てくれたのである。
ご遺族の長男さんは、この春に法学部に合格されたとのことで、うれしいことであった。
もし彼が法律家を目指されるなら、交通事故という痛ましい経験を乗り越えられて、いい法律家になるのではないだろうか。人の痛みが分かる、いい法律家に。