在りし日の小次郎
これは難しい問題だが、誠実であること、一を聞いて100を知るようなところがないこと、誠実さの一方で適度なのんきさを持っていること、度胸があること、親切なこと、悪を憎む気持ちがあること、とかだろうか。
ただ、誠実過ぎてもいけないし、ある程度依頼者が何を言っているかわからないときに、推察して確認したりする作業も必要でもある。のんき過ぎてもいけない。度胸がありすぎて、危険回避能力がなくてもいけない。親切すぎても経営できない。悪を憎むとはいっても刑事事件の被疑者・被告人は基本的に悪いことをしているので、「それが許せない」とばかりいっていては刑事事件は出来ない。
バランスが難しいのだということであろう。
過ぎたるは及ばざるがごとし、ということなのかとも思う。
徳川家康の処世訓である、
人の一生は重荷を負うて、遠き道を行くがごとし
急ぐべからず
不自由を、常と思えば不足なし
心に望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし
堪忍は、無事のいしずえ
怒りは、敵と思え
勝つことばかりを知って、負くることを知らざれば、害、其の身に到る
己を責めて、人を責めるな
及ばざるは、過ぎたるに優れり
というのは、弁護士の事件に対する姿勢にも通じるところがあるとも思うのである。