読書日記「百年の孤独」
子どものころ、なぜか忍者の本が家にあった。
忍者の訓練法とか、忍者の武術とかいろいろなことが書かれていて、それを読んで、そのとおりに訓練をすれば忍者になれるのではないかと思ったものである。
幼稚園が休みの日に、ポケットのいっぱいついたズボンを履いて、おもちゃの手裏剣やくないをそこに入れて、近所を探検して、人がきたら隠れて、忍者気分に浸っていたことをふと思い出す。どこかかっこいいと思っていたのである。
実際の忍者は、歴史小説を読んだりするようになると、かっこいい存在だけではなく、火付けや強盗、後方攪乱をするなど、正史には残らない存在であるということが分かった。まあ、小学生にあがる頃にはそんなこともしなくなっていたが。
司馬遼太郎や、津本陽にも忍者を主人公にした小説が多い。史実に絡めて、作家が好きなような書くことが出来るので、食指が動くのであろう。司馬の名作「梟の城」は忍者小説である。史実と絡めてあるところがにくい。
戦国武将は、必ずといっていいほど、忍者を使って諜報をしていた。
武田の飛び加藤は、武田信玄の死後、上杉謙信に仕えようとして、そのあまりの妖術の大きさに謙信に疎まれて殺されようとした(確か、海音寺潮五郎の「天と地と」では謙信に射殺される)。北条氏が用いた風魔小太郎はあまりにも有名である。信長が用いた忍者は伝わっていないが、滝川一益という猛将はもともと忍者の出身であったといわれており、当然に存分に用いていたであろう。
真田幸村が用いたといわれている、猿飛佐助や霧隠才蔵も有名であるが、これは実在したかは不明である。
ただ、大阪の陣で、家康が幸村の突撃によって乱戦となった際に殺されたという伝説は根強く残っており、やむを得ず家康にうり二つの農民を見つけ出して少しの間家康としていたという説もある。津本陽の真田忍侠記という小説はこの二人の忍者が大活躍する。
個人的には、家康は幸村の突撃のさなかに死んだと信じたいところである。