読書日記「百年の孤独」
後ろを振り返ると、S井の指に釣り針が刺さっていた。釣り針が刺さっているのだから、もう少し痛そうな声を出せばいいのに。私が全面的にわるいのだが、さらに悪いことに、早くS井の針を外そうと竿を置いた拍子に針が引っ張られて、針はS井の指を貫通してしまったのであった。
道具箱から道具を出して針を切って、針を外してS井に平謝りをするが、S井は何事もなかったかのように許してくれるのであった。
後に、私と投げ釣りに行った時に、日弁連副会長に内定をしたN村T雄は、自分で置いた竿の反動で自分の指を釣ることになるのであるが、その前に、「竿はたてておかないで、横に置いてえさをつけないとだめですよ。」ということがいえたのも、このS井の指を釣った経験があってこそである。ちなみに、S井はN村T雄事務所で修習をしていた。
その後、私の母親が作ってくれた弁当を二人で食べる。S井はいらないと言っていたが、腹がすいていては釣りが出来ないではないか。
S井に弁当を勧めると、さすがに腹がすいていたのかS井も完食である。卵焼きが自分の母親と同じ味だと言っていたのが印象的であった。
その後全く釣れなかったのであるが、そろそろ帰ろうかという話をしていた時、S井の竿に大きな衝撃が来たのであった。
つづく。