読書日記「百年の孤独」
秀吉が信長に仕えてすぐの頃、信長が塀の隙間から自分のイチモツを出して、通っていく秀吉の顔に小便をかけたことがあった。
秀吉は信長と知らず怒って塀の向こうに行くと、信長が笑って立っている。
信長は、秀吉の性根を試したのであろう。
秀吉は、相手が主君であるため、怒りをこらえるかと思いきや、烈火のごとく怒って、信長に男子の顔に小便をかけるとはいくら主君でも許さない、謝りなされと怒った。
許さないと言っても、秀吉が腕力で信長に敵うわけがないのだが、秀吉は物凄い剣幕で怒った。
さすがの信長もその剣幕に押されて、秀吉に謝罪したという。
信長は、これと同様のことを荒木村重という武将にしている。
信長に荒木村重が拝謁した時に、信長は切っ先に饅頭をさして差し出した。
村重はこれをぱくりと咥えて食べたという。
信長はここで村重を試したのではないのかという気が私はしている。信長は美的感覚が発達し、己の人生を美的にとらえていた人であったから、秀吉のように村重が拒否することを内心求めていたのではないかという気がする。
村重は、そのような信長の心の動きを感じたのかもしれず、後に毛利家について摂津で反逆し、それがために秀吉は退路を断たれる形になり、窮境に陥ったことがある。
信長は秀吉のような心映えを愛していたように思える。
戦国時代は人としての名誉が尊ばれた時代でもあるが、それは今の世にも言えることではなかろうかという気がする。
己を曲げず、生きていくのはなかなかに難しいことである。