読書日記「百年の孤独」
以前、たまたま就職担当副会長が修習生に京都の就職事情を説明しているところに居合わせたので(個別にはしてくれないので、念のため。問い合わせがあった修習生をまとめて集団でされていたのである)、私も横に座って聞いていた。
修習生は真面目なのだと思うが、「どこで就職を考えているの?」と聞くと、「大阪か京都で」と言ったり、場合によっては、「弁護士か検察官かで悩んでいます」というのである。
そういう時に私は、「京都に来ているんだから、京都しか考えていないといわないと、その時点で選考から漏れるよ」と指摘することにしている。同じくらいの優秀だと思われる修習生が2名いて、大阪か京都の人と、京都しか考えていない人のどちらを優先的に考えるかを少し考えれば分かるはずである。
また、弁護士に就職の情報を聞きにきているのに、志望について決まっていないというのも致命的である。弁護士は「じゃあ検事になればいいではないか」と思って、その修習生は採用のリストから抹殺される。
就職難の時代であるし、嘘も方便である。生の考えをいわなくともよいのである。
だいたい検察官や裁判官は競争率が極めて高く、なりたいと思ってもなれないことも多いのであるし、就職もすんなり出来るかどうかもわからないのである。
あと、弁護士は人と折衝することが仕事なので、採用する予定のない事務所の弁護士と話をする時でも、修習生をよく見ているし、それなりにやれそうかそうでないかは見られている。
妙に自信があって偉そうな修習生は嫌われるか、物凄くかわいがられるかのどちらかであるが、後者であるためには本当に優秀でないといけない。
基本的に弁護士の世界に入ってきている人はたいてい高学歴で勉強が出来た人たちばかりなので、修習生が妙なプライドを持っていてもダメである。これまで地元では神童と呼ばれて、ちやほやされていた修習生も、修習生になり、弁護士の前に来た時点でそんな過去やプライドは捨て去った方がいい。優秀な人はあまたいて、その中で本当に優秀と言われる人はほんの一握りなのである。
逆に大人しいだけの修習生も頭の中から抹殺される。
また、弁護士側からすると、弁護士の話にあわすことも出来ず、自分の話ばかりしたり、なれなれしい修習生も抹殺リストに入る。対人折衝能力が極めて重要な能力であるのに、気を遣うということが出来ないのは致命的だからである。
ある程度気配りをし、明るく、はきはきと物をいい、ある程度自分を持っている(物凄く自分を持っていると、弁護士はそんなヤツいらん、となるのである)ようでないと就職はこれから難しいかもしれない。