読書日記「百年の孤独」
ここ数年、無料法律相談を担当していない。
京都弁護士会では、区役所などで開催されている無料法律相談をすることが原則として義務化されている。ただし、老齢、疾病、過疎地での法律相談(弁護士会主催も含む)をする場合には、無料法律相談が免除されるのである。
私は過疎地相談をここ数年担当しているので、無料法律相談は免除されている。
今年は弁護士会の役員なので、法律相談はそもそも担当しないのだが。
無料法律相談は、相当体力と精神力を消耗する。
無料法律相談ということで、だいたい一相談場所で、3時間あまりの時間に、7~8人は相談を聞く。一人当たり15分~20分という相談時間が設定されていて、その時間内で相談内容を把握し、回答をし、満足してもらえるというのは中々難しい。
ただ、若いうちは法律相談を多数回こなすことで経験が得られるので、積極的にやった方がいいと常々言っている。
無料法律相談には、困った人もやってくる。
ご本人たちは必死なのだが、必死な内容を20分で何とかしてあげられるわけもない。
一度、耳が遠い高齢の方の相談を聞いていたことがあった。この人はほとんど聴力がないようで、しかも大量の資料を用意しておられて、常連であったため、区役所の人も心得ていて、毎回私に当てるのである。そして、前回はここまで聞きましたよね、と遠大な物語を区分けにして聞いて、時間がオーバーすると区役所の人が呼びに来て、「また次回に聞いてもらいましょうね」と諭して次回となるのである。
一度、この人にとって私がいいことを言ったのか、補聴器の耳に入れている方を抜いて、マイクのように差し出され、「もう一度言ってくだされ~」と言われたが、補聴器の耳に入れる方は音を拾う方ではないから、そこに言ってもこの人には余計聞こえないはずなのだが、仕方がないので声を張り上げて答えてあげたりしていた。
ただ、区役所の相談は一年で交代なので、話が佳境に入ったところで、その区役所の相談は終わってしまったので、とうとうその人の本当に聞きたいことは相談出来ずじまいであった。
つづく。