末席の人にも配慮を

中隆志

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 私が会議を主催する時に、気をつけていることがいくつかある。

 一点は、フリーハンドで会議をしないことである。
 フリーに、「さあ、どうですか」という提案の仕方は、議論が出にくいのである。
 ある程度提案者の方で、「これについてはこういう考えがあり得て、私はこう考えますがどうですか」という提案の仕方をしないと、会議をする実益はない。
 そういう提案の仕方(仮の案ともいうべきか)をして初めて、反対意見が出たりするものである。
 つきつめていえば、会議の主催者は、ある程度の腹案をもち、それを呈示し、それについて意見を求めてまとめあげるという方法でないと、会議は速く進まない。
もちろん、そのためには事前の準備が必要となってくることはいうまでもない。
 逆に、自分の意見に固執するのもよくない。
 いい意見が出たら、その場で修正し、妥当な結論に導くという手腕も必要とされるのである。

 あと、私が会議で気をつけているのは、時間があればすべての人の意見を聞くようにしていることである。
 特に末席の人は、そうそうたる人々の前で萎縮して意見が言えないことが多いものである。
 そうした人に敢えてあてて、意見を聞くのである。

 そうすると、若手なのによく考えていて、はっとさせられることがある。逆に、何わかっておらず、「オイオイ、アホかいな」ということもある。
 しかし、後者の場合でも、若手の勉強の機会になるから、それを「アホか」いわず、これこれこういうことからすると、難しいのではないかということで、一定の配慮をした上で採用しないようにすると、若手の勉強にもなるし、一定の配慮をされたということで、次の発奮材料にもなるというものである。

 若手でよくないのは、あてられても、「特にありません」ということであろう。
 そういう人は、「見込みのないヤツ」と思われるであろうし、若いうちは何かいうべきであろう。
 それが的を外れていても、どこがどう外れているかを指導されることで、5年先、10年先に役立つことがあるであろうからである。

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