読書日記「百年の孤独」
電車に乗っていたり、道を歩いていると、とてつもなく汗臭いにおいを感じる時がある。自分ではないかと思ってくんくんと臭うのだが、どうやら違う(はず)のである。
汗臭いにおいをまき散らしながら歩いている人がいるということである。夏場に風呂に入らなかったりすると、とつてもなく汗臭くなるであろう(体臭が元々きつい人も体質的にいるではあろうが)。
先日も歩いていると、あたり10数メートル四方が臭いことがあり、「何だろう」と思ってみると、それらしい人がてくてくと歩いていた。どう見てもしばらく風呂に入っていない感じである。
それを見て、宮本武蔵は生涯風呂に入らなかったという説があるが、これは嘘であろうと思った。風呂に入らない習慣の民族もいるが、それはたいてい空気が乾燥している地帯の民族なのである。日本のように高温多湿な国で、風呂に入らず過ごすというのは、いかに武蔵でも無理であったろう。
武蔵は放浪の旅をしていた一方、各地でその地その地の高名な大名のところに寄宿していたりしていたのであり、あまりにもむさ苦しい格好をしていては大名の席にはべることも出来なかったであろうからである。
武蔵は晩年、細川忠利というよき理解者を得て、充実した時間を過ごすことが出来るのであるが、忠利は武蔵よりも先に死んだから、晩年に至り武蔵が始めて得た心の知己である忠利の死後、風呂にも入らずむさ苦しい格好でうろついていたので、そのような伝説が出来たのではないかという説を何かの本で読んだ記憶があるが、何の本であったか思い出せない。