多忙は理由にならない

中隆志

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 相手方や依頼者に対する対応がずさんなものであったり、説明が不十分で相手方を怒らせる弁護士は多々いるが、忙しい時に電話をされてきたら基本的にこちらの方も怒りがちだが、相手の方は自分の主張を聞いて欲しいと思っているし、それは誤解や事実誤認に基づく場合も多いから、基本はしっかりと聞くべきであろう。

 忙しいからと言って、それを聞かずに、また、相手方の言っていることの事実確認もせずに済ましてしまうというのはやはりプロとしては怠慢といわれても仕方がないであろう。
 多忙だから事件処理(相手方との対応や依頼者との対応)が出来ない、事件数が多いというのであれば、新規の受任を断ったりすべきであろう。勤務弁護士の場合で自分の個人受任事件が多く事務所の業務に支障を来すという場合には、当然個人の事件受任をしないように心がけるべきである。私も実際勤務弁護士の頃はそうしていた。

 少しずつ経験がたまっていくと、新人の頃は丁寧にしていたことでも、いい加減になってしまったり、自分が偉くなったかのように誤解してしまう人もいるが、経験がたまればたまるほど、法律家の仕事というものの怖さを十分に理解していなければならないということになろう。

 好事魔多しという。信長が全国統一の志半ばで本能寺に倒れたのは、彼が絶頂の時期であった。
 絶頂の時ほど危ない。常日頃そのような心がけでいないと、いろいろな落とし穴が掘られているのである。

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