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コラム

三国志

2012年1月24日

コラムカテゴリ:法律関連

 最近、歴史ブームということもあるのか、レッドクリフがヒットした為か、三国志ものの書籍がたくさん本屋に置いてある。漫画も多いようである。
 一時期三国志に凝って、三国志ものを読みあさったこともあり、今はかえってそうしたものは敬遠している。

 三国志というのは、後漢末期に漢が滅び、中国が魏、呉、蜀の三つの国に分かれていた時代の英雄豪傑を描いた話で、正確にはここで、「三国志」といえば、三国志演義といって、後漢の時代を遙かに下った南宋の時代ころ(時代は若干あやふや)に成立した演劇の事を指す。
 これに対して、三国志には正史があり、正史と演義とは相当内容が違っている。
 演義の方は、後に蜀の皇帝となった劉備玄徳を主人公とし、蜀を正当とする立場から、劉備を善玉、漢の国を滅ぼす原因を作った魏の曹操を悪玉として描くわかりやすいストーリーである。
 正史の方は、後漢皇帝から皇帝の位を禅譲(譲られること)された魏を正当な王朝として描いている。

 演義の方の劉備は、聖人君子として描かれて、死に瀕した荊州の太守である劉表から国主の座を譲られようとしたが、固辞してこれを受けなかったが為に、荊州から逃れて、曹操から追撃を受けることになるなど、物足りない人物である。
 しかし正史の方の劉備はどうもそうした聖人君子ではなかったようで、演義の方では張飛のせいにされているが、黄布族征伐の功で若い頃警察署長程度の役職に就いていた時に、中央の役人が査察にきて、賄賂を要求したり辱めを劉備に与えたことに激高して、その役人を木に縛り付けて鞭でさんざんに打ち据えて、役人の首に警察署長の印綬をかけて蓄電してしまったことがある。こちらが本当の劉備である。

 ここで少し三国志関連の本について書くと、吉川英治の「三国志」は最近新装版が出ているが、私が今まで読んだ三国志ものでは完成度といい、内容といい三国志作品の最高傑作である。まず読むなら吉川三国志をお勧めしたい。敵軍100万の中を劉備の子を守り奮戦した超雲に対して、劉備がねぎらいの言葉をかける場面や、関羽が呉によって斬られた後の吉川英治の悲嘆ぶりが一読の価値があるし、関羽ファンであった私は関羽の死に涙したものである。
 陳舜臣の「秘本三国志」は、これも最近新装版が出ているが、曹操と劉備が共謀して最後に2人で天下をかけて戦おうとしたという設定のもと描かれた作品である。曹操が悪玉として書かれていない珍しい作品といえる。
 その他、安岡正篤氏が書いた三国志ものや、5分冊の三国志もの、劉備が天下を取るという架空の設定の「超三国志」等々三国志関連で読んだ本は相当な量である。井波律子氏の「読み切り三国志」も面白い。
 漫画では、吉川英治を原作とした横山光輝の三国志は全巻持っている。
 もっとも劉備や曹操を描いて史実に近いのは、モーニングに連載されていた曹操が主人公の「蒼天航路」であろう。これも全巻持っている。

 こうした三国志ものがなぜ受けるかというと、これは歴史小説が人生訓として読まれるという以上の何かがあるように思えてならないが、それはなんであるのだろう。

この記事を書いたプロ

中隆志

被害者救済に取り組む法律のプロ

中隆志(中隆志法律事務所)

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